こんにちは。投資エンジニアの三年坊主(@SannenBouzu)です。
エンジニアとして実際に働いてみると当然分かることですが、
業務時間中ずっとパソコンと向き合って、システムの課題を解決すれば万事問題なし!キャリアも順調!
…とは言い切れないですよね。
ソフトウェアを開発するエンジニアは、フリーランスも会社員も例外なく「仕事で他人と関わる」以上、ただ技術スキルを磨くだけでは行き詰まるタイミングがやってくると思います。
『Being Geek ―ギークであり続けるためのキャリア戦略』を読みました。
「ギーク」と呼ばれるのに相応しい高い技術スキルを持っているかどうかに関係なく、
ミーティングやプレゼンが嫌いなので避けたい
できればコードとだけ向き合いたい
予測可能なシステムの問題の解決だけに全力を注ぎたい
と願う、そしてその願いが叶わないと薄々気づいている全てのエンジニアに読んでほしい書籍でしたので、簡単に紹介していきます。
どのような書籍?【エンジニア上がりマネージャのキャリア指南書】
シリコンバレーで15年、エンジニアやマネージャとして働いた筆者が、「ギーク」が自分自身や会社・組織の不確実性に臨機応変に対応できる能力を身につけうまくキャリアを歩むための経験則をまとめた指南書です。
高度な技術や知識について解説した技術書ではなく、
- エンジニアが転職を考える時に何をどのように検討し決断するか?
- マネージャや同僚とどのように関係を築くか?
- 日々の作業に忙殺されず長期的なキャリア戦略を立てて実行するには?
といった、技術と同じくらい重要な問いに対する、重要な気づきを与えてくれます。
技術書には載っていないけど、エンジニアとしてキャリアを歩むために一度は考えておきたい内容ばかりです。
Being Geekを読んだきっかけ【エンジニアの電話面接に興味あり】
直接のきっかけは、「『電話面接』についてBeing Geekに具体的に書いてある」というブログ記事を見かけて興味を持ったことでした。
実際、第4章は「電話選抜」という章立てで、転職の面接を受ける前に電話で行われる選抜について解説されています。
「電話選抜」は候補者を選ぶというより不適格者をふるい落とす要素が強いので、
- 質問の意図を明確につかむ
- 履歴書に書いた内容についてはきちんと質問に答えられるようにしておく
- 逆質問で熱意を示す
のような基本をおさえることが大切だということでした。
逆質問に関しては、エンジニア面接向けの関連記事もご覧ください。
Being Geekのおおまかな内容【仕組みを知って不確実性を乗り切る】
エンジニアのキャリア形成は、ただ技術スキルを磨いていれば事足りるわけではありません。
マネージメント職を目指す人はもちろん、技術的なスキルで事業に貢献する人(いわゆるスペシャリストやIndividual Contributor)でも、「企業や組織にジョイン→マネージャや同僚・利害関係者と働く→別の機会を求めて転職」という一連の流れの中で、業界・会社・組織の仕組みを知らないために自分が不利益を被る可能性は容易に想像できます。
『Being Geek』を読むことで、自身が典型的な「ギーク」かどうかはともかく、好きな技術を追い求め新たな何かに挑戦しつづけるキャリアを形成するにあたって、不確実な外部環境から自分を守る一種の護身術を身につけることができるでしょう。
Being Geekのおおまかな感想【転職以外にも役立つ実践的アドバイス】
超変人と仕事をする機会も少なく、最近は比較的目の前のタスクに集中できる環境で働いている私ですが、最終章の「現状に何も問題がないからと言って、それが成功につながるとは限らない」というフレーズを読んで身につまされる思いがしました。
もちろん、何でもかんでも転職だ!というわけではないと思いますが、現状の仕事が辛かろうとそうでなかろうと、少なくとも自分が目指したい成功はどの辺にあって、それに対してこれまで何を積み上げてきたのか確認する機会は定期的に作りたいと感じています。
一人のメンバーとして、マネージャに伝える情報の絞り込み方や、逆にマネージャからどのような情報が自分に伝わらないかを学ぶことができて参考になりました。
転職についても、「年収を聞かれた時の正しい答え方」から「面接で質問に答えるプロセス」まで実践的なアドバイスが多く、まさに指南書・手引書として使える感じです。
一方で、必ずしも転職に限らない、会社や組織で実際に自分が働くシーンにも焦点を当てているのが特長で、面接官や上司の類型ごとに対処法がまとまっている章(6章、12章)や、カードゲームを使ったチームビルディング(18章)など、折に触れて見返したいと感じました。
個人的に響いた、エンジニアのキャリア戦略に役立つ内容
最後に、読んでいて気づきの多かった章をいくつか紹介します。
6章:面接官の「ボタン」
面接での小さな手がかりから会社の内情をうかがい知るスキルについて書かれています。
「初対面の人からより多くを知るスキル」と拡大解釈することも可能で、応用範囲もかなり広いです。
『Being Geek』では「怒っている人」「おしゃべりな人」「謎めいた人」「如才ない人」「静かな人」「CEO」などのパターンを挙げていますが、例えば「如才ない人」に絶対に答えを知らない難解な技術的な質問をすると、自分が「知らない」ことに動揺しているので、答えられる質問をされれば安心し「名誉挽回」という気分もあって進んで答えてくれる可能性が高いという話は、なるほどと思いました。
10章:愚かな上司の作り方
「マネージャに伝える情報は絞り込む」「問題だけではなく解決策を提示する」といった内容が書かれています。
情報を伝えるべきかどうか、以下のような判断ポイントが挙げられています。
- 自分の責任の範囲内のことか?
- 自分で対処できることか?
- 大きな問題か?
- 上司が関心を示しそうな問題か?
- 独力で解決した場合にどんなメリットがあるか?
- 独力で対処して失敗した場合はどうなるか?
- 何かを学べるか?
25章:トリクルリスト
少しずつ絶え間なく時間を投資していれば、思いがけない成果があげられる「トリクル理論」という考え方があるそうですが、筆者が「物事が確かに自分の立てた戦略に沿って進んでいるか確かめるためのリスト」を運用しており、その詳細が紹介されています。
エンジニアならエンジニア、マネージャならマネージャとしての責務に関連して、自分なりに目標としたい項目を見出しに書き、日々実行できたか確認します。
即座に必要ではないけれど、長期的には大きな成果につながりそうな可能性を秘めたことに日々少しずつ時間を割くということで、『7つの習慣』で有名な「重要・緊急でないことに最大限時間を割く」に通じるものがありますね。
運用のコツとしては、以下のような内容に触れていました。
- 自分の大目標に沿っていて実行が簡単な項目を設定する
- 最初から完全でなくてよく、実態に合わせて変更すべき
- 目につくところに置いてリストの存在を常に意識しておくと、不測の事態でも大目標に沿った対応ができるメリットがある
35章:就職先の選択
就職先の選択にあたっては、
- ベンチャー企業か大企業か
- どの分野で働くか、会社のブランドは重要か
- マネージャになるつもりがあるか
という3つの問いに答えてみることを勧めています。
会社の知名度を度外視してでも、自分の望むものがその会社から得られるでしょうか?
どの事業で働くか、「就社」というよりは「就業」、さらに言えば「就プロジェクト」のイメージで、就職・転職に値するかどうか、視点を変えて検討してみるべきでしょう。
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