新卒の就活で縁があった会社で働くうちに、だんだん大きくなる疑問と不安。
「このまま今の会社にいていいのか?」
「仕事で少し行き詰まっている・伸び悩んでいる気がするものの、職場で相談するのも気が引けるし、親だって転職なんて一度もせずに定年を迎えている…」
新卒就活のように「大学卒業までに就職先を決める」みたいな基準もないので、どう考えたらいいのか悩ましいですよね。
本記事で紹介する『転職の思考法』は、「転職という意思決定には、情報でもスキルでもなく『思考の軸』が必要」というコンセプトに基づいて、市場や会社の選び方、自分の市場価値の高め方に関する判断材料を提供してくれます。
- 今の職場に不満があり「給料は我慢代」とまで割り切れない
- 「今よりいい会社」がいいけど具体的にどの会社がいいのか分からない
- 仕事を通して成し遂げたい目標が特に見つからず悩んでいる
このような悩みを持っている方は、本書を手に取って、一度もやもやした悩みを言語化してスッキリさせてみませんか。
動画でも話しているので、よかったらご覧ください。
『転職の思考法』の要約
- 要点1:伸びる市場に身を置こう
- 自分の市場価値は「技術資産×人的資産×業界の生産性」で決まる
- 伸びる市場では複数のベンチャーが参入したり、既存業界の非効率を突く強烈なロジックが生まれる
- 価値のあるものとないものは、長い目で見れば逆転する
- 要点2:ベストな会社の選び方
- 自分の市場価値は上がるか
- 自分が働きやすいか
- 自分が活躍できそうか
- 要点3:少数のto do (コト)型人間・圧倒的多数のbeing(状態)型人間
- to do (コト)に重きを置く人間は、「何をするのか」で物事を考える。明確な夢や目標を持っている
- being(状態)に重きを置く人間は、「どんな人でありたいか」「どんな状態でありたいか」を重視する
- 適度な緊張感を得られる機会に自身をさらしているか
『転職の思考法』の書評
個人的に印象に残っている内容や、本の記述をきっかけに考えた内容をまとめています。
過去伸びてきた市場(業界)が、今後も伸びるとは限らない
新型コロナウイルスでますます脚光を浴びたインターネット業界であっても、どうなるか分かりません。
デジタルカメラの台頭によるフィルム市場の縮小で倒産に追い込まれたコダックや、ガラケー市場では強かったもののスマートフォン市場で存在感の薄い日本のメーカー各社など、市場の変化にうまく対応できなかったプレーヤーも印象的です。
一つの業界の一つの会社で「一生食える」時代ではないことを改めて実感します。
会社が生き残りを賭けて複数の事業に参入しているのも納得ですね。
逆質問で会社を見極める重要性
「自分が働きやすいか」「自分が活躍できそうか」を見極める重要な手段として、気になる企業の社員に直接聞く方法があります。
- どんな人物を求めていて、どんな活躍を期待しているのか?
- 今いちばん社内で活躍し、評価されている人はどんな人物か?なぜ活躍しているのか?
- 自分と同じように中途で入った人物で、今活躍している人はどんな部署を経て、どんな業務を担当しているのか?
自分が仮に入社した後のイメージをできるだけ具体的に持てるような質問と、実際に質問してみた際の回答例を、関連記事で紹介しています。
「自分の目標や夢を明確に打ち出せない」と悩むのは時間の無駄
「圧倒的多数の人間がbeing(状態)に重きを置く」という指摘には心から納得できました。
『心から楽しめること』が見つからないのは、価値観の違いであって、妥協ではない
being型の人間としては、迷った時に自分を嫌いにならない選択肢を選ぶ→仕事でつく小さな嘘を最小化することが大切だと述べられています。
個人的に気に入っている「情熱を探すのではなく情熱を育てる」という考え方につながるところがあります。
「自分探し」に無駄な時間を費やさないようにしましょう。自戒を込めて。
少し面倒に思えても、日々の仕事を文字ベースで振り返る
日々の仕事を定期的に振り返って、紙に書き出したり、人と話したり、その結果に応じて行動を起こすことは、自分の市場価値を高めたり、会社選びの判断基準を養う上でとても有効だと感じます。
具体的には、以下のような内容を洗い出す方法が紹介されていました。
- この半年の間に強い緊張を感じた場面
- いい緊張が3つ未満→より難しい・未経験の業務に挑戦する
- 悪い緊張が10以上→職場を変えたほうがいい
- 他の人から上手だと言われるが「自分ではピンとこないもの」
- 普段の仕事の中で「まったくストレスを感じないこと」
一人で机に向かって言語化するのは苦手だと感じる場合には、匿名で相談に乗ってくれる「そうだんドットミー」などのサービスを活用するのもよさそうです。
『転職の思考法』の書評 まとめ
本書は、心を開いて相談できる相手が限られる「転職」について、「何をどう考えればいいのか」視点を提供してくれる良書だと感じています。
「自分の市場価値が高まっているのか」については、自分自身での振り返りと同様に、第三者からの冷静なアドバイスも非常に重要です。
転職エージェントを活用して、日々の仕事・キャリアの棚卸しにフィードバックをもらいながら、実際に面談に臨んで企業の方に逆質問をぶつけるという実体験を通して、判断軸を自分なりに磨き上げていきましょう。
結果的に転職しないとしても、転職できるという確信・自信を持てることが、本当に自由な働き方を実現させてくれるのだと感じています。
本書を参考に、ぜひ一歩を踏み出して、前向きな働き方を実現していただきたいです。