この記事では、iDeCoの受け取り時に気をつけるべき節税ポイントを簡単にご紹介します。
ポイントは「他に一緒に受け取る所得」です。受け取り方法によって違ってくるので、きちんと理解してiDeCoを最後までお得に使いましょう。
>・60歳以降に受け取る時もお得に
iDeCoとは別に多額の退職金を受け取ることができる場合、退職所得控除の上限を超えてしまう可能性はあるので気をつけたいですね。
だからと言って #iDeCo をはじめないのはもったいない。
ただその判断を60歳超えてからしないといけないので、健康に生きましょう! https://t.co/PW4HW482kp
— 三年坊主🐤投資エンジニア👩💻 (@SannenBouzu) July 26, 2018
>・60歳以降に受け取る時もお得に
iDeCoとは別に多額の退職金を受け取ることができる場合、退職所得控除の上限を超えてしまう可能性はあるので気をつけたいですね。
だからと言って #iDeCo をはじめないのはもったいない。
ただその判断を60歳超えてからしないといけないので、健康に生きましょう!
iDeCoの受け取り方法は一括・分割・その組み合わせ
iDeCoでは、60歳から70歳の間の好きな時に受け取り(給付)を開始することができます。
受け取りの方法は、大きく分けて
- 一時金(一括で受け取る)
- 年金(分割して受け取る)
- その2つを組み合わせる
の3つから選べます。
例えば、30歳〜60歳まで月々23,000円をiDeCoで積み立てて運用すると、元本は23,000*12*30=828万円。
運用する商品にもよりますが、運用利益が出てトータルの額はこれより大きくなっているかもしれません。仮に、年利5%で運用できたとすると、トータルの額は1,900万円ほどになります。
この金額を、全て一括で受け取るか、年金の形で分割して受け取るか、その2つを組み合わせて受け取るか。どうすれば、iDeCoの節税メリットを一番うまく活用できるでしょうか。
iDeCoの受け取りは一括と分割で所得の種類が違う
iDeCoで受け取るお金は「所得」になるので、その一部に対して税金がかかります。
iDeCoで受け取るお金は、受け取り方によってどの所得に分類されるかが違います。所得からの控除には所得の種類ごとに上限があるので、他に合わせて考えるべき所得が違ってきます。
控除
簡単に言えば、税金の計算のときに「この部分については税金を取らないよ」と差し引いて計算してくれる金額のことです。
一括受け取りは「退職所得」に分類される
「一時金」として一括で受け取る場合には、「退職所得」として課税の対象となります。「退職所得」には、会社から受け取る退職金なども含まれるので、それらを合わせて考える必要があります。
「退職所得」には「退職所得控除」があって、その上限はこのように計算されます。
退職所得控除額の上限
- 40万円×年数(年数が20年以下の場合)
- 800万円+70万円×(年数-20年)(年数が20年を超える場合)
※「年数」=「勤続年数」と「iDeCo加入年数」のうち長いほう。以下は「iDeCo加入年数」で話を進めていきます。
30歳〜60歳まで月々23,000円をiDeCoで積み立てて運用する場合、iDeCoの加入年数を横軸にとってグラフにしてみます。
青い線「退職所得控除額の上限」を超えた部分について、その2分の1が「課税退職所得金額」になります。
「課税退職所得金額」と実際に支払うべき税額について、詳細は以下のリンクをご覧ください。課税退職所得金額が200万円(=(1,900-1500)/2)だと、所得税率は10%になって、支払うべき税額はおよそ10.5万円(=(200×0.1-9.75)*1.021)になります。
別紙 退職所得の源泉徴収税額の速算表
一時金で一括で受け取るのがオススメな人は、以下のような人が代表的になると思います。
- iDeCoの運用であまり多くの利益が出ていない(60歳以降に運用して利益を増やしたいとも思っていない)人
- 会社から受け取れる退職金があまり多くない人
分割受け取りは「公的年金等にかかわる雑所得」に分類される
「年金」として分割で受け取る場合には、「公的年金等にかかわる雑所得」として課税の対象となります。公的年金等にかかわる雑所得には、国民年金、厚生年金、共済年金が含まれるので、それらを合わせて考える必要があります。
公的年金等にかかわる雑所得には「公的年金等控除」があって、その上限はこのように計算されます。
公的年金等控除の上限(年間の非課税枠)
- 70万円(65歳未満)
- 120万円(65歳以上)
この金額を超えた場合に課税される雑所得と、支払うべき税額について、詳細は以下のリンクをご覧ください。
3 公的年金等に係る雑所得の金額の計算方法
年金で分割で受け取るのがオススメな人は、以下のような人が代表的になると思います。
- 60歳以降でもiDeCoの運用を続けて利益を増やしたいと思っている人
- 会社から受け取れる退職金が多く「退職所得控除」を上回ってしまう人
一括・分割組み合わせた受け取りはそれぞれ別々に分類される
「一時金」として一括で受け取る部分は「退職所得」に、「年金」として分割して受け取る部分は「公的年金等にかかわる雑所得」に分類されます。
節税の観点からいえば、「退職所得控除」を超えない範囲で「一時金」として多くの金額を受け取って、その後は、特に65歳以降で「年金」として分割して受け取るのがよさそうです。
iDeCoの受け取り時に気をつけるべき節税ポイント5選
- (iDeCoの運用額はどのくらいになる予定か?)
- 退職金の金額はどのくらいになる予定か?
- 退職所得控除の金額はどのくらいになる予定か?
- 公的年金(国民年金、厚生年金、共済年金)の金額はどのくらいになる予定か?
- 公的年金等控除の金額はどのくらいになる予定か?
これらを踏まえて、なるべく
- 一括で受け取るiDeCoの合計金額+退職金など<「退職所得控除」
- 分割で受け取るiDeCoの合計金額+公的年金など<「公的年金等控除」
になるように受け取り額を調整すると、節税のメリットを最大限に生かすことができそうです。
例えば、iDeCoを30年間運用してトータルで1,900万円ほどになり、退職金が仮にゼロという場合は、以下のような方法で受け取るのは悪くなさそうです。
iDeCoの受け取り方 | 金額 | メモ |
---|---|---|
一時金(一括) | 1,500万円 | 退職所得控除の上限におさまる |
年金(分割・60〜64歳) | 150万円(30万円×5年) | 公的年金の非課税額:70万円 |
年金(分割・65〜69歳) | 250万円(50万円×5年) | 公的年金の非課税額:120万円 |
おわりに
退職金にも年金にも税金がかかるとは、知ってはいましたが世知辛いですね・・・
ツイートにも書きましたが、こうした判断をしなければいけないのは、60歳を超えたあなたです。
健康に生きましょう!